酸化ストレス

 生活習慣病、老化の危険因子に酸化ストレスがあります。酸化ストレスはガンも進行させると考えられています。

 では酸化ストレスとは何でしょうか?人は空気中の酸素を細胞内のミトコンドリアで利用、エネルギー(ATP)を産生しますが、その過程で廃棄物である活性酸素が発生します。活性酸素は適量では細菌等を攻撃するので有用ですが、大量では正常組織も攻撃します。人の体内には活性酸素の毒性を消去する抗酸化系がありますが、このバランスが崩れ酸化に傾いた状態を酸化ストレスと呼びます。加齢で抗酸化系の活性は低下するので、高齢者が激しい運動をすると発生する活性酸素を除去できず、組織障害は進行します。高齢者には散歩、ジョギング等の軽い有酸素運動が適する理由です。

 酸化ストレスの亢進は、激しい運動以外、喫煙、過度の飲酒、過食、精神的ストレス等の日常生活習慣、更には高血圧症、糖尿病、脂質異常症等の疾患でも起こります。またPM2.5等の大気汚染、食品添加物、農薬でも亢進します。なお過度の飲酒はアルコールが肝臓で分解される過程で活性酸素を産生すること、喫煙は酸化ストレスそのものであること、精神的ストレスは解放された時にも酸化ストレスが増大することには留意が必要です。

 以上より自己介入が可能な日常生活習慣の是正、各種疾患の管理が重要となります。活性酸素を除去する食材としてはビタミンA、C、Eを含む食材、リコピン、ポリフェノール等があります。ビタミンは互いに協力して抗酸化作用を発揮するのでバランス良く摂取することが必要です。またビタミンCを含む緑黄色野菜は、腸における悪玉菌による活性酸素産生を抑制、酸化ストレスを減らすので有用です。抗酸化作用のあるサプリとしてはビタミンC、E、パントテン酸、セレン、亜鉛等があります。ビタミンCとEは相互作用があるので同時に服用すること、サプリは食後に服用することが重要です。