睡眠にはレム睡眠、ノンレム睡眠があります。レム睡眠とは体は眠っているのに脳が活発に動いている浅い眠りで、目が覚めやすく夢を見る特徴があります。レム睡眠では脳を動かして海馬に収納された記憶を固定しています。レム睡眠から覚醒するとスッキリとした目覚めとなります。レム睡眠、ノンレム睡眠は通常90分の周期で繰り返しており、90分の倍数より算出した自分に適したレム睡眠の時間帯に起床することが重要です。
一方、ノンレム睡眠は深い眠りで、体も脳も休んでいる状態です。深いノンレム睡眠を徐波睡眠と呼び、成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンの分泌は徐波睡眠後30分で最大となり、時間帯では午後10時から午前2時に最大になるとされています。成長ホルモンは子供では成長を促しますが、大人では日中の心身の疲れ、ストレスを解放、組織を修復、老化の進行を抑制します。加齢は徐波睡眠を減少させ、成長ホルモンの分泌低下より生活習慣病、老化を促進します。以上より、入眠後3-4時間の徐波睡眠は健康維持に重要です。なお睡眠剤服用下の徐波睡眠時でも成長ホルモンの分泌は同じであり、不眠で悩むよりは睡眠剤で徐波睡眠した方が良いと言われています。
では何時頃、就寝すれば良いのでしょうか?前述のように成長ホルモンの分泌は午後10時から午前2時の間に最大になります。また覚醒ホルモンであるオレキシンの覚醒刺激は午後7―10時の時間帯に最大となるので、この時間(睡眠禁止帯)を外して就寝するのが勧められています。更には就寝1時間前に入浴すると深部体温が下がり、自然な眠りにつけるとされています。以上より午後9-10時に入浴、1時間後に就寝、3-4時間徐波睡眠することが健康維持に重要と考えられます。若い人ではこれを毎日実行するのは無理と思いますが、高齢者では試してみる価値があると思います。但し、成長ホルモンは時間帯に関係なく、入眠後3-4時間の徐波睡眠で分泌されるとの説もあるので結局、質の良い睡眠が重要と言えます。なお仕事の関係で睡眠の時間帯が不規則な人は、成長ホルモンを増やすアミノ酸系サプリを服用するのも有効かも知れません。
その他、睡眠で重要なことは朝の日光、朝食が睡眠ホルモンであるメラトニンを減少、覚醒ホルモンのセロトニンを増加させ体内時計をリセット、正しい睡眠サイクルから健康を維持していること、睡眠ホルモンであるメラトニンには抗酸化ストレス、免疫力増強作用があり、ストレス、強い光、加齢で減少すること、高齢者では睡眠時間6-7時間が適当で、8時間以上は健康上良くないこと等です。